名庭園を散歩してみよう!~岡山・後楽園~

柿生 亜実
2018.09.06

はじめに

日本三名園の1つで、別名・烏城と呼ばれる岡山城の対岸に広がる後楽園。ミシュラングリーンガイドで3つ星に輝く、岡山を代表する庭園です。

 

 後楽園の歴史

岡山藩・池田家の2代藩主・綱政(つなまさ)の依頼で、後楽園の作庭が開始されたのは、1687年(貞享4)のこと。完成したのは、1700年ころです。趣味人で知られる綱政は、園内に造った能舞台で、自ら能を舞うこともあったのだとか。能を舞うのは単なる趣味でなく、健康維持も兼ねていたそうです。

後楽園を作庭したのは津田永忠。1654年(承応3)の大洪水をきっかけに、岡山城の前を流れる旭川の放水路として百間川が造られます。それにより、旭川をはさんだ対岸の土地が使えるようになり、その土木工事を担当した永忠に綱政が庭造りを依頼しました。

3代藩主・池田継政の時代には,庭園の中央に築山(唯心山)が造られます。

江戸時代には、岡山城の裏にあったので御後園(ごこうえん)と呼ばれていました。1871年(明治4)から、後楽園と呼ばれるように。

歴代の藩主は、お城の下から渡し舟に乗って後楽園に向かったそうですが、現在は岡山城側からは月見橋を歩いて渡ることができます

後楽園の特徴について

後楽園は、綱政が仕事の息抜きをしたり、お客さんをもてなしたりするために造られた林泉回遊式の大名庭園です。

わたしは日本三名園をすべて訪れたことがありますが、後楽園は土地が割とフラットで、3つの庭園の中では一番歩きやすかった印象があります。また、開放感があって、日本庭園なのにのびのびできました。

園内に、茶畑や正方形の田んぼを「井」の字のように9等分した井田(せいでん)があったり、たんちょうが飼われていたり、園内の約6分の1が芝生であったりすることも、親しみやすさを感じる要因だったのかもしれません。

園内には、全長約640mの曲水が流れています。この水は、1964年(昭和39)までは旭川から引き入れていました。

木造2階建ての流店(りゅうてん)は、1階部分に壁がなく、その真ん中を曲水の一部が流れる変わった作りの建物です。歴代の藩主は園内を散策する途中に、この場所に立ち寄って休憩をとったそうです。

後楽園の見どころ

後楽園の中で一番高い、標高6メートルの唯心山からは、園内を見渡すことができます。

茶祖堂近くの落差約3メートルの花交の滝は、曲水の終点にあり、水量が多くて迫力あり。夏には蓮が咲き誇る花葉の池にも、花葉の滝があります。

板8枚がジグザクに架かる八橋(やつはし)では、6月上旬ころにカキツバタを見ることができます。

他にも、梅林、紅葉スポットである千入の森(ちしおのもり)、唯心山に咲くツツジやサツキなど、四季折々に景色を楽しむことができます。

歴代藩主が庭を眺めた延養亭は期間限定で公開されているので、お殿様になった気分で庭を眺めるのも良いかもしれません。

夏と秋に開催されるライトアップイベント・幻想庭園では、夏はビアガーデン、秋は能舞台でのコンサートなど、日本庭園らしくないひと味違った楽しみ方もできますよ。

まとめ

池田綱政が、あまり手をかけず、自然を活かして造った後楽園。今も訪れると、その当時の様子がうかがえます。

きびだんごなどの名物料理が食べられる茶店や食事処、岡山城を眺めながら漕ぐことのできる貸しボートなどもあるので、のんびり一日過ごしてみてはいかがですか。

後楽園の詳細情報

住所:岡山県岡山市北区後楽園1-5

開館時間:年中無休。

3月20日~9月30日:7時30分~18時(最終入園17時45分)、10月1日~3月19日:8時~17時(最終入園16時45分)

イベント開催時は、開園・閉園時間が変更の可能性あり

早朝開園:9月:6時30分~、10月~11月:7時~

入園料:大人(15歳以上、中・高校生を除く)400円、シニア(65歳以上)140円、高校生以下無料(元日と3月2日(開園記念日)は入園無料)

アクセス:JR岡山駅から徒歩25分

岡電バス後楽園前バス停下車すぐ

路面電車で城下(しろした)下車、徒歩10分

この記事を書いた人

柿生 亜実
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