禅と結びついて発展してきた茶道第3弾!「夜船閑話」

yamashita
2018.07.30
白隠慧鶴禅師「一円相」

 

はじめに

禅と結びついて発展してきた茶道シリーズ第3弾です。今回は、白隠禅師の著書「夜船閑話」をひもときながら安心の問題をさらに掘り下げてみたいと思います。「夜船閑話」は白隠禅師が自身の若い頃をふりかえって書いた本です。「白河夜船」をもじって「夜船閑話」というタイトルがつけられたのではないかと考えられています。

 

■「夜船閑話」の序文

引用:白河

 

「夜船閑話」は、宝暦7年(1757年)、白隠禅師73歳の時に出版されました。白隠自身の若い頃の経験を記したものです。白隠は25歳のころノイローゼと肺結核を患っていて、ほとんど絶望状態でした。偶然、京都・北白川の山奥に白幽子という医学に詳しい仙人が隠遁生活をしているという噂を小耳にはさみます。

 

白隠は藁にもすがる思いで北白川の洞窟で隠遁生活をしている白幽子を訪ねました。白隠が訪ねたとき白幽子は「霊寿三四甲子」(一甲子が60年だから180歳~240歳)だったと「夜船閑話」には記されています。実際には90歳くらいだったのではないかと考えられています。

 

仙人「白幽子」を訪ねた若い白隠は「内観の秘法」を授けてもらいます。「内観の秘法」を3年ほど真剣におさめた白隠は病気が全快し嘘のように健康を回復しました。また、これまでは手の付けられなかった難しい考案がいとも簡単にとけるようになったとのこと。同じ悩みを持つ後進のために、自身の若い頃の経験をつづったのが「夜船閑話」です。

 

京都の松月堂という本屋が白隠禅師のもとへ手紙を送るところから「夜船閑話」の序文がはじまります。「白隠老師様、先日ある者より「夜船閑話」という原稿があるとうかがいました。世の禅修行者のためにその原稿を出版させていただけないでしょうか?」

 

 

白幽子の教え

 

白隠禅師「苦行釈迦」
白隠禅師「苦行釈迦」

 

・内観の秘法

「乃し云く、若是参禅弁道の上志心火逆上し、身心疲労し、五内調和せざることあらんに、鍼灸薬の類をもって是を治せんと欲せば、縦ひ華陀扁倉といえども、たやすく救い得ることは能はじ。我に仙人還丹の秘訣あり、汝が輩試に是を修せよ」

 

白幽子が仙人の「内観の秘法」を教えてやるから私に従って習得しなさい。と言っています。

 

「長く両足を展べ、強く踏みそろえ、一身の元気をして臍輪気海、丹田腰脚、足心の間に充たしめ、時々に此観を成すべし。『我がこの気海丹田、腰脚足心、総に是我が本来の面目、面目何の鼻孔かある。我がこの気海丹田、総に是我が本分の家郷、家郷何の消息かある。我がこの気海丹田、総に是我が唯心の浄土、浄土何の荘厳かある。我が此の気海丹田、総に是我が己身の弥陀、弥陀何の法をか説く』これを打ち返し打ち返し常に妄想すべし。」

 

病人というのは、病気のことやそれに連る死の不安、煩悩など、さまざまな妄想が頭の中にいっぱいになっていて、なかなか消えないものだ。だからそれをすべて忘れ去り一心に意識を丹田(へその下、下腹部)腰脚に集中させて呼吸を整えるのだ。呼吸する際には以下の文言をくりかえし唱えて心を統一集中させなさい。
『我がこの気海丹田、腰脚足心、総に是我が本来の面目、面目何の鼻孔かある。我がこの気海丹田、総に是我が本分の家郷、家郷何の消息かある。我がこの気海丹田、総に是我が唯心の浄土、浄土何の荘厳かある。我が此の気海丹田、総に是我が己身の弥陀、弥陀何の法をか説く』

 

『我がこの気海丹田、腰脚足心、総に…』を唱えることで、足の土踏まずから脚、腰にかけて気力を満たし頭にのぼっている気が下半身に下り手足がポカポカしてくるはずだ。

 

多くの人は呼吸が上ずって、心気が胸から頭にいたる上半身に上がっている。八畳分もあろうかという肺の一部分しか使わないというのはもったいない話だ。

丹田(へその下、下腹部)で深く呼吸をすれば、おのずと心気は下降してくる。心気が下降すれば、心の煩いはなくなり、血液の循環も良くなり、胃腸など内臓の働きも改善されるだろう。

 

・金液丹田の秘訣

白幽子は若い白隠に「内観の秘法」だけでなく「金液丹田の秘訣」を授けたとあります。

「予が曰く、酥を用いるの法、得て聞つべしや。幽が曰く、行者定中、四大調和せず、身心ともに疲労することを覚せば、心を起こし応さに此想を成すべし」

酥とは古代のミルクかバターのようなもの。酥を頭の上にのせ、それが溶けて全身を潤すさまを妄想しなさい。心身相関の理から身体の細胞の一つ一つ、内臓、ホルモンの分泌にいたるまで、この妄想によって順調になるはずである。

 

 

まとめ

「夜船閑話」は、若い頃の白隠禅師が「頭の心火を降ろし」「無観」に徹することで重い病気を克服した体験談です。呼吸法ひとつとってみても現代に生きる私たちに役立つ内容だと思います。白隠禅師の著書にはほかに「遠羅天釜」という作品があります。興味のある方は手に取ってみてください。また次の機会に「遠羅天釜」についてもご紹介します。

 

 

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