日本のおすすめジャズアルバム(2) My Songs from New York

Reirei
2019.11.30

現在活動している日本人ジャズミュージシャンを中心に、彼らがリリースしたアルバムを紹介していくシリーズ第2回は、シンガーの まきみちる さんが今年(2019年)11月8日にリリースした『My Songs from New York』。そのタイトル通り、ニューヨークで録音された作品です。

 

超ベテランシンガー・まきみちる

私たちシニア世代にとっては、懐かしい名前ではないでしょうか。以前は『槇みちる』と、苗字が漢字表記でした。60年代の大ヒット曲「若いってすばらしい」を覚えている方も多いと思います。2011年にミッツ・マングローブさんもカバーして話題になりましたね。
アイドルとしての活動は4年ほど。その後はスタジオミュージシャンとして2000曲以上のCMソングを歌い、岩崎宏美さん・山口百恵さん・ピンクレディー他、数多くの方々のバックコーラスも務めてきました。
アイドルからスタジオミュージシャンという経歴で今はジャズ? いえいえ、まきさんはデビュー前に、米軍キャンプやジャズ喫茶で歌っていたそうですよ。その頃からジャズ魂を培ってきた筋金入りの方です。2006年にはフランク・シナトラのトリビュート・アルバム『MAKI’S BACK IN TOWN!』をリリースしています。

 

『My Songs from New York』収録曲

1. ラブ・スコール
2. 君をのせて
3. イン・ザ・スティル・オブ・ナイト
4. 黄昏のビギン
5. 見上げてごらん夜の星を
6. 胸の振り子
7. 河のゆくえ
8. 蘇州夜曲
9. 爪
10. ライティング ビューロー
11. 打ち明けて
12. メイビー・セプテンバー

まきみちる (ヴォーカル)
ケニー・バロン (ピアノ)
北川潔 (ベース)
ジョナサン・ブレイク (ドラム)
直居隆雄 (ギター、アレンジ)
塚山エリコ (アレンジ)

 

アルバム解説

収録曲一覧を見て「えっ?」と思われた方も多いことでしょう。最後の「メイビー・セプテンバー」のみがいわゆるジャズのスタンダードで、それ以外はすべて日本人の作曲です。『ルパン三世』TV第2シリーズエンディング曲である「ラブ・スコール」の英歌詞バージョン、沢田研二さんのファーストシングル「君をのせて」、CMでもお馴染みの「黄昏のビギン」、不滅の名曲「見上げてごらん夜の星を」など、有名な曲がたくさん。「蘇州夜曲」はジャズボーカリストの間で密かに人気のようですよ。「ライティングビューロー」「打ち明けて」は、まきさんのために書き下ろされた楽曲です。

参加ミュージシャンは、ジャズピアノの超大御所であるケニー・バロンさん、彼とニューヨークでトリオを組んでいるベースの北川潔さんとドラムのジョナサン・ブレイクさん。日本からはまきさんの「戦友」であるギターの直居隆雄さん。キーボーディストの塚山エリコさんは今回主にアレンジを担当しています。ニューヨークで、そしてこのメンバーでアルバム制作をすることになった理由については、まきさんの公式サイトをご参照くださいね。

このアルバム全体についての個人的な感想を。少々妙な例えなのですが……。
筆者の脳裏には「最上級の炊き立ての白飯」が浮かびました。一粒一粒がツヤツヤと光り立ち、香り高く、噛みしめるほどに甘みと滋味が口内を通じ全身に満ちる幸せな感覚。それを存分に堪能する中でふと「このとてつもなく美味しいご飯はどうやって自分の食卓に届いたのだろう」という思いがよぎります。水路や田んぼの準備や手入れ。多岐に渡る農作業、収穫。脱穀し、袋に詰めての輸送。味や収穫量向上のための品種改良。実に多くの人たちの汗と努力の結晶がこのご飯なのだろうなと、素人なりにも想像がつきます。しかも全員がその道の匠なのだということも。

この例えは、アルバム制作そのもののみならず、制作にかかわった皆さんの音楽人生、そして戦後日本の音楽史に当てはまるような気がしてなりません。長年音楽の世界で生きてきた方々が結集し、今また素晴らしい「実」を育て上げ、しかも至高の愛と技法をもって炊き、目の前によそってくれた。そんな思いです。
最後の曲「メイビー・セプテンバー」では「もしかしてこれは、まきさんの音楽人生最初の頃に手に取った種籾みたいな曲なのかな?」と推測しました。

こういったことを考えることなく、ひたすら「美味しい~!」と、味の世界にどっぷり浸るのもまた楽しいものです。是非皆さん、実際にご自分の耳で「召し上がって」みてくださいね。

 

メイキング動画

『My Songs from New York』のレコーディング風景などを散りばめた短い動画が公開されていますので、ご紹介します。バックに流れているのは、ケニー・バロンさんが演奏する「Blue Moon」です。

 

筆者からみた まきみちる さん

今回のアルバム制作にも携わった、ギタリストの直居隆雄さんのライブ。そこで、お客さんとしていらしているまきさんと何度かお会いしています。初対面の時からとてもフレンドリーで、さっぱりしていて、心地良いパワーを持った方でした。
ニューヨークから戻られた後の今年8月、直居さんのライブにまきさんがシットイン(飛び入り)で1曲歌って下さった時の写真がこちらです。

2019.8.23 東京・沼袋 Organ Jazz 倶楽部にて

小柄な体から溢れんばかりのオーラと歌声に圧倒されました! 歌唱力はもう言うまでもありません。まきさんの偉大さをしみじみ実感した夜でした。

 

まきみちる Michiru Maki Official Web Site ←クリックすると別窓が開きます

『My Songs from New York』についての情報が満載。全収録曲も試聴できますよ!
CD購入サイト(Amazon、タワーレコード、HMV)へのリンクがトップページにあります。

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Reirei

多趣味小芸のぐうたら50代。 音楽はクラシックからAKB48まで、何でも楽しく聴きます。 50代からはまったジャズライブ通いは、もはやライフワークのようなもの。 特技はPCいじり(自作も)、糖質制限メニュー開発等々。

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