日本のジャズミュージシャン(3)~大御所&大型新鋭ピアニスト~

Reirei
2018.12.11

筆者が実際に演奏を聴き「この人はお勧め!」と太鼓判を押すジャズミュージシャンをご紹介するシリーズ。
第3回は「大御所&大型新鋭ピアニスト」です。

 

「Misty」が空前の大ヒット!山本剛

山本剛(やまもと つよし)プロフィール

1948年、新潟県佐渡市出身。

出生後すぐに佐渡島より新潟に移り、小学生の頃からピアノを弾き始める。
高校生時代、アート・ブレーキーとジャズ・メッセンジャーズの生演奏の虜となりジャズ・ピアノを独学で習得する。
日本大学経済学部に入学。音楽人生で多大な影響を受ける。
1967年、日本大学在学中、19才でプロ入り。ミッキー・カーティスのグループを振り出しに英国~欧州各国を楽遊。
1974年、レコード・デビュー(「ミッドナイト・シュガー」TBM)。スケールの大きなブルース・フィーリングと
スイングするピアノがファンの注目を集め、続く「ミスティ」(TBM)が大ヒット、
以後レコード各社より数多くのリーダー・アルバム、共演アルバムを発表、人気ピアニストの地位を確立する。
1977年、アメリカ、サンフランシスコ、モンテレー・ジャズ・フェスティヴァル出演。
1979年、スイス、モントルー・ジャズ・フェスティヴァル出演。大好評を得、その後渡米、1年間ニューヨークで音楽活動を行う。
帰国後は、六本木のライヴ・ハウス”ミスティー”でハウス・ピアニストとして活動を再開。
笠井紀美子、安田南等ヴォーカリスト達と共演する一方、ディジー・ガレスピー、カーメン・マックレイ、サム・ジョーンズ、
ビリー・ヒギンズ、エルビン・ジョーンズ、ソニー・スティット、スティーヴ・ガッド、エディー・ゴメスetc.
多数の本場ミュージシャンと共演。
その間、英国のバタシー・パーク・ジャズ・フェスティヴァル、ニューヨーク独立記念日ジャズ・フェスティヴァル、
コンコード・ジャズ・フェスティヴァル等に出演。
TV番組「リュウズ・バー(村上龍構成、出演)」の音楽を担当するなど各方面で活躍。

出典・引用:山本剛公式サイト

 

世界が認め、日本が誇るジャズピアノの第一人者

プロフィールでご紹介したように、大学時代にプロとしてデビューし、いきなり海外で活躍した方です。
20代で既に「Misty」の大ヒットを飛ばし、ジャズファン以外にもその名を轟かせました。
70年代の音楽シーンに詳しい方なら、ご記憶があるかもしれませんね。

1987年から1991年3月まで、毎日放送系列で放映されていた『Ryu’s Bar 気ままにいい夜』のテーマ曲
「Cleopatra’s Dream(クレオパトラの夢)」は多くの方が耳にしていたはず。
これは山本さんのトリオによる演奏です。メンバーは稲垣護さん(b),バイソン片山さん(ds)でした。

山本さんのピアノは、ジャズ界では「ブルージーでよくスウィングする」と言われています。
……ジャズ初心者の方には「何のこと?」という感じではないでしょうか。
筆者は「1音1音がふくよかで、理屈ではない優しい説得力がある」
「インスピレーションにあふれた、ドキッとするようなフレーズをさりげなく奏でる」
「お茶目なフレーズ(誰もがよく知っている、ジャンル違いの曲の一節など)で楽しませてくれる」
などなど、ジャズの理論や理屈を知らなくても心底楽しめる演奏をされる方だと思っています。

 

スタジオ録音音源をご紹介

こちらはスタジオで録音された「Misty」。なんとも美しく、胸を打つ演奏ですね。
共演は稲葉国光さん(b)、小原哲次郎さん(ds)と、これまた大御所のお二人。
小原さんは残念ながら、2016年に75歳で逝去されました。

山本さんは現在も精力的に日本全国を飛び回り、ライブ活動をなさっています。
筆者もこの記事を執筆する少し前、東京でライブにお邪魔しています。
香川裕史さん(b)、大隅寿男さん(ds) という現在の山本トリオの固定メンバーと
ゲストに増尾好秋さん(g) という4人編成でした。
この録音とはまた全然違った「Misty」を楽しませていただきましたよ!
皆さんにも是非、ライブでの演奏を聴いていただきたいと思います。

山本剛さんの詳しいプロフィールやスケジュールはこちらをどうぞ。
Facebook では毎日楽しい写真や直近のスケジュールもアップされています。

山本剛公式サイト

山本剛 Facebook ページ

 

20代ジャズピアニスト No.1 の実力! 永武幹子

永武幹子(ながたけ みきこ)プロフィール

千葉県船橋市出身。

3歳よりクラシックピアノを始め、ヤマハ音楽教室で寄島清美、寺西誠各氏に師事。即興演奏や作曲を学ぶ。
中学時代は法田中学校ブラスバンド部に所属し、トランペットを担当。全日本マーチングコンテスト
全国大会に三年連続出場し、金賞を一回 銀賞を二回受賞する。

早稲田大学入学後、同大学モダンジャズ研究会、ハイソサエティオーケストラに入り、ジャズに目覚める。
ジャズピアノを清水くるみ氏に師事。大学入学当初は法曹志望だったものの、富樫雅彦・本田竹広等の
日本ジャズや、フリージャズとの出会いをきっかけとして、プロのジャズピアニストの道に進む。

現在は自己のバンドをはじめとする様々なバンドで都内中心に演奏活動を行う。
2016年、植松孝夫グループ、鈴木勲OMA SOUNDに加入。
増尾好秋MAGATAMA結成。2017年酒井俊 律動画面結成、Duoでの活動も開始。

これまでの共演者としては、林栄一、竹内直、芳垣安洋、藤井信雄、中牟礼貞則、井上信平、橋下信二、
本田珠也、Akira Tana、Arthur Hnatek他。(敬称略、順不同)

引用:永武幹子のブログ

 

既に確固とした世界を持ちつつ、猛烈な勢いで進化中

大学卒業後まだ数年しか経っていない、若手の永武幹子さん。
筆者が彼女に出会ったのは2016年12月のこと。
増尾好秋さんがリーダーの4人組バンド『MAGATAMA』のライブでした。
同年秋に結成したばかりで、名手で大ベテランの増尾さんと中堅・塩田哲嗣さん(b)以外の
2人は20代前半の、年代差が非常に大きいバンドです。

聴き進めていくうち、永武さんのピアノに惹かれているのを強く感じました。
ライブ仲間とその時一致した意見は「痒い所に手が届く演奏」。
鍵盤を叩く回数=音数がとても多いのですが、無駄に弾いている部分は全くありません。
ペダルを使って音を豪華に拡げるより、一つ一つの音で情熱的に語るような感じでした。

それから2年の間、ソロや他の編成での演奏をそれなりの回数聴いてきました。
この人は本当に凄い! 毎回毎回猛烈な勢いで進化しているのです。
確固たる自分の世界を持ち、その上での進化を続けています。

ライブによっては20分に渡る即興を繰り広げたり、変拍子のオリジナル曲があったりという
ジャズ初心者にとっては難解なイメージのある演奏があります。
しかし実際聴くと、理屈は関係なく気持ち良い! と思える音の数々。
もちろん、彼女流解釈によるスタンダードも素晴らしいですよ。

 

ご本人作成のアニメも入った動画をご紹介

My Ship / Kurt Weill 永武幹子 Trio

動画の設定でこちらのページ内表示がされません。別窓が開きますのでそちらでご覧くださいね。
この曲は非常に美しく情緒豊かに演奏されています。
どんなフリージャズ的演奏なのかと手に汗握った方、申し訳ありません(笑)

メンバーは落合康介さん(b)、服部マサツグさん(ds)です。
この Trio も聴いたことがありますが、非常に意欲的で技術も高く
情緒的な部分も大いに満足させてくれる素敵なライブでした。

永武さんは最近長野や東北、そして関西にも時折演奏に行っています。
お近くでライブがある際はお聴き逃しなく!

永武幹子さんの詳しいプロフィールやスケジュールはこちらをどうぞ。
特にスケジュールは、ブログと Twitter で確認するのが一番確実です。

永武幹子のブログ

永武幹子 Twitter

永武幹子 Facebook ページ

 

まとめ

いかがでしたか?
大御所と超期待の若手。お二人とも本当に素晴らしいピアニストです!
今回はどちらも静かで美しい曲を選んでみました。
疲れた時には、温かな飲み物と共にゆっくり聴いてみてくださいね。

今後も日本のジャズミュージシャン特集記事を予定しています。
テーマや楽器ごとにたくさんのミュージシャンをご紹介していきますので、お楽しみに!

以前の特集記事はこちらです。

日本のジャズミュージシャン(1)~関西出身ギタリスト~

日本のジャズミュージシャン(2)~ベテラン&若手ドラマー~

この記事を書いた人

Reirei

投稿者:

Reirei

多趣味小芸のぐうたら50代。 音楽はクラシックからAKB48まで、何でも楽しく聴きます。 50代からはまったジャズライブ通いは、もはやライフワークのようなもの。 特技はPCいじり(自作も)、糖質制限メニュー開発等々。

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