【名器の系譜】キャロウェイ X FORGED の歴史

喜怒哀楽スタッフ
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2026.03.21

“やさしさのキャロウェイ”が、本気で上級者を振り向かせたアイアン

キャロウェイのアイアン史を語るうえで、X FORGEDは特別な名前だ。
飛びや寛容性で評価を集めてきたキャロウェイが、「打感」「抜け」「操作性」という、よりシビアな世界に真正面から踏み込んだ象徴的なシリーズだからである。

2007年の初代登場以降、X FORGEDは単なる“上級者向けモデル”ではなく、時代ごとのツアー要求やアマチュアの好みを映しながら形を変えてきた。

2025年の海外向け現行モデルに至るまで、その思想は一貫している。――いい打感を、ただの懐古趣味で終わらせず、現代性能の中にどう残すか。 その試行錯誤こそが、X FORGEDの歴史だ。

 

2007年:初代X FORGED誕生

キャロウェイが“本気の軟鉄鍛造”を世に問うた瞬間

初代X FORGEDは2007年に登場した。Callaway Pre-Ownedの記載では、1020カーボンスチール鍛造で、Flighted CG Designを採用し、番手ごとに最適化した弾道設計を狙ったモデルだった。いわば「ただ柔らかいだけの鍛造」ではなく、ロングアイアンでは球を上げやすく、ショートアイアンでは高さと距離感を整える、実戦的なプレーヤーズキャビティだったのである。

しかもこのモデルは、当時としてはオーソドックスな1ピース鍛造キャビティバックでありながら、ツアーでもすぐに存在感を示した。Golf.comとAustralian Golf Digestは、X FORGEDの系譜は2007年に始まり、発売直後からツアーで採用され、フィル・ミケルソンのバッグにも入ったと伝えている。つまり初代は、単に「キャロウェイにもこういうアイアンがあります」という宣言ではなく、“キャロウェイの上級者向けは本物だ”と証明したモデルだった。

初代の代表的なロフトは、3番21度、4番24度、5番27度、6番30度、7番34度、8番38度、9番42度、PW46度。いまの飛び系基準から見ればかなり伝統的だが、このロフト設定こそが当時のX FORGEDの性格をよく表している。飛距離で押すのではなく、高さ・スピン・距離感で勝負するアイアンだった。

 

2009年〜2011年:ツアー志向の継承と洗練

ただ難しいだけ”では終わらせない改良期

Callaway Japanは2025年公開の記事で、X FORGEDが2007年、2009年、2011年、2013年、2017年、2019年、2021年、2024年とモデルチェンジしてきた系譜であることを明かしている。つまり、X FORGEDは断続的な復活モデルではなく、実はかなり継続して磨かれてきたシリーズだ。

この2009年〜2011年は、キャロウェイが“やさしいメーカー”から“ツアーでも勝てるメーカー”へ印象を広げていく時期と重なる。X FORGEDはその最前線にいた。ここでの進化は、派手なテクノロジーの追加よりも、顔つき、抜け、重心位置、番手間の流れのブラッシュアップにあった。
X FORGEDはこの頃から、単なる「キャロウェイの鍛造」ではなく、“キャロウェイらしからぬほど硬派”なアイアンとして認知され始める。後年の名器評価は、実はこの下地があってこそ生まれている。

 

2013年:X FORGEDの名が“名器”として定着した年

多くのゴルファーが今も忘れない完成形

X FORGEDの歴史で最も語られることが多いのが、やはり2013年モデルだ。
Callaway Japanはこのモデルについて、小ぶりな設計を保ちつつ、7番アイアンのロフトを33度に1度立て、飛ぶウッドとの距離のつながりを考慮して重心を少し下げ、球の上がりやすさ・止めやすさを意識して設計したと説明している。また、どんなライにも対応しやすいようバンスに丸みを持たせたことも特徴として挙げている。つまり2013年モデルは、「伝統的な顔」と「現代的な実戦性」のバランスが非常にうまかった。

スペック面でも、このモデルは完成度が高い。Callaway Pre-Ownedによると、ロフトは3番21度、4番24度、5番27度、6番30度、7番34度、8番38度、9番42度、PW46度。一方で、MyGolfSpyやCallaway Japanの記事では、2013年モデルは1025カーボンやトリプルネット鍛造、さらに設計思想としてのCG Height Progressionが語られている。媒体ごとに表現は異なるが、共通するのは「やさしくしすぎず、でも打てる人にとっては扱いやすい」という評価だ。

そして何より大きいのが、使用プロの存在である。Callaway Japanは、石川遼が2013年X FORGEDを長年愛用していたことで有名だと明記している。さらにGolf.com系の報道では、フィル・ミケルソンが2013 X FORGEDを長く使い続けていたことが伝えられている。ツアーの最前線にいる選手が“古いモデルを使い続ける”という事実は、そのモデルの完成度を何より雄弁に物語る。2013年X FORGEDは、まさにそういうアイアンだった。

 

2017年/2018年:伝統回帰と現代化のちょうど真ん中

クラシックだけど古くない”を作った世代

Callaway Japanの2025年記事では、次のX FORGEDは2017年モデルとされており、2013年から4年空いた理由の一つとして、同社内でAPEXシリーズが存在感を増していたことが示唆されている。つまりこの時期のX FORGEDは、Apex Pro系と住み分けながら、「よりピュアな鍛造キャビティ」という役割を再定義していた。

日本向け2017年モデルの公式スペックでは、ロフトは3番20度、4番23度、5番26度、6番29度、7番33度、8番37度、9番41度、PW45度。従来よりややストロングになり、番手間のつながりも現代化している。これは単なる“飛び系化”ではない。打ち出しやスピンを損なわずに、現代のボールとウッドに合わせて番手全体の距離フローを整えた進化と見るべきだ。

米国向けの2018 X Forgedも同じ流れの延長線上にある。Callaway Pre-Ownedによると、2018モデルは3番20度、4番23度、5番26度、6番29度、7番33度、8番37度、9番41度、PW45度。形状はよりシャープで、オフセットも少なく、いかにも“上級者のキャビティ”という雰囲気だ。にもかかわらず、Golf Monthlyによればフィル・ミケルソンが2019年シーズンに5〜7番でX Forged 18をApex MBと組み合わせて使用していた。これは、2018世代が“フルキャビティなのにツアーで通用する打感とコントロール”を持っていた証拠といえる。

 

2019年:X FORGED STARという分岐点

打感がいいのに、ちゃんと飛ぶ”を狙った意欲作

X FORGEDの歴史の中で、かなり重要なのがSTAR系の登場だ。
初代STARの日本公式スペックでは、素材はS15C軟鉄鍛造、ロフトは4番20度、5番23度、6番26度、7番29度、8番33度、9番38度、PW43度。通常のX FORGEDよりも明らかにストロングロフトで、飛距離性能とやさしさの方向へ舵を切ったことが数字からもよく分かる。

ここが面白いところで、STARは単なる“別物”ではない。
Callaway Japanは現行STARについて、「1ピース軟鉄鍛造を使いたいが、ある程度のやさしさや飛距離性能も欲しいプレーヤーに最適」と説明している。つまりSTARは、X FORGEDの打感思想を保ったまま、ターゲットを広げるための枝分かれだった。シリーズを細く尖らせるのではなく、“X FORGEDという美学を、もっと多くのゴルファーに届ける”ための派生型だったのである。

 

2021年:X FORGED CBの登場

ツアーキャビティは、ここで新しい答えを出した

2021年のX FORGED CBは、X FORGED史の中でもかなり転換点となるモデルだ。
Callaway Pre-OwnedとGolf.comによると、このモデルは1025マイルドカーボンスチール鍛造ボディをベースにしつつ、Tour Tuned Face Plateを組み合わせ、スピンと飛距離の一貫性を重視した。つまり従来の“1枚ものの気持ちよさ”だけではなく、競技レベルで嫌われる飛びすぎ・飛ばなさすぎを抑えることに本気で取り組んだモデルだった。

このモデルの面白さは、見た目は伝統的なプレーヤーズキャビティなのに、中身はかなり現代的なところだ。Practical Golfは、X Forged CBが従来型の薄い上級者キャビティよりも8〜10ハンデ程度まで視野に入る許容性を持ちながら、スピンの暴れや“ジャンパー”を抑えている点を高く評価している。ツアー用アイアンがそのまま難しいだけで終わらず、少しだけ門戸を広げた。ここに2021年世代の意味がある。

使用プロについては、PGAClubTrackerはMatt Wallace、Kyoung-Hoon Lee、Talor GoochらがX Forged CBを使っていると記載している。非公式集計サイトではあるが、少なくともこのモデルが“市販モデルなのにツアーでちゃんと選ばれる”存在だったことは伝わる。

 

2024年:日本発X FORGEDの復権

“欧米ツアープロも欲しがる”日本企画モデルへ

2024年には、X FORGEDが日本企画モデルとして強く再浮上した。
Callaway Japanの公式ページでは、2024年モデルを1ピース軟鉄(S20C)鍛造、コンパクトヘッド、少ないオフセット、薄いトップブレード、そして最大の特徴としてトライレベル・ソールデザインを採用したモデルと説明している。さらに、日本ツアーからの要望でヘッド重量をやや軽めにしたとも記載されており、単なる日本限定モデルではなく、競技現場の要求に応えた設計であることがわかる。発売は2024年4月5日。

ロフトは3番20度、4番23度、5番26度、6番29度、7番33度、8番37度、9番41度、PW46度。ここで注目したいのは、2017/2018系のPW45度から、2024日本仕様では再びPW46度になっている点だ。これは単純な後退ではない。よりピュアな打感やスピンコントロール、そしてウェッジとのつながりを重視した、日本市場ならではの再調整と見ることができる。

そしてプロとの関係も濃い。Callaway Japanは、2024〜2025年のX FORGED関連で石川遼の名前を前面に出しており、2013年モデルを長年愛用した文脈に続いて、X FORGED系統が同選手と深く結びついていることを示している。さらに2026年のCallaway Japan記事では、石川がX FORGEDウェッジ60度を試合で使用中とも紹介されており、シリーズ全体としての信頼がうかがえる。

 

2024年のX FORGED STAR

“飛ばせる軟鉄鍛造”をさらに磨いた兄弟モデル

2024年のX FORGED STARも重要だ。
Callaway Japanによると、このモデルはS20C軟鉄鍛造で、7番29度のストロングロフトを維持しつつ、通常のX FORGEDより4度立った設定になっている。番手構成は4番〜PWで、ロフトは4番20度、5番23度、6番26度、7番29度、8番33度、9番38度、PW43度。公式説明でも、**「1ピース軟鉄鍛造アイアンを使いたいが、ある程度のやさしさや飛距離性能も欲しいプレーヤー向け」**とはっきり定義されている。

石井良介プロの試打コメントでも、通常のX FORGEDに対しSTARはトップラインがやや厚く、わずかにグースが入って、球をつかまえてくれる感じがあるとされる。X FORGEDが“打ち込める上級者向け”、STARが“ややシャローでも対応しやすい”という対比は非常にわかりやすい。つまり2024年時点でX FORGEDは、
硬派な本流と、飛距離・寛容性を加えた派生型という2本立てで完成度を高めたのである。

 

2025年:海外向けX FORGEDの再展開

日本企画の思想が、再び世界へ

2025年のCallaway公式サイトでは、海外向けX Forgedは1020カーボンスチールの単一鍛造、ツアー好みのコンパクト形状、Tri-Level Soleを特徴とし、ロフトは4番23度、5番26度、6番29度、7番33度、8番37度、9番41度、PW46度として展開されている。Australian Golf Digestは、これを日本市場向けに培われたX Forgedの思想を海外向けに広げたものとして紹介している。

ここでX FORGEDは、ついに“懐かしい名器の復刻”ではなく、世界市場でも通用する現役のプレーヤーズアイアンとして再定義された。2007年に始まったシリーズが、単なるレトロな人気ではなく、2025年時点でも製品ラインとして新しく成立しているという事実は大きい。

 

使用プロで見るX FORGEDの価値

“新しいほど優れている”わけではない世界

X FORGEDが特別なのは、古いモデルが長くプロに使われ続けてきたことだ。
最も象徴的なのはフィル・ミケルソンで、Golf.comやGolf Monthlyなどは、初代系統からX FORGEDに縁が深く、2013年モデルや2018モデルを長く使っていたと報じている。

日本では石川遼の存在が大きい。Callaway Japanは、2013年X FORGEDを長年愛用していたことを明言している。プロが何年も同じアイアンに戻る、あるいは使い続けるのは、それだけ顔・打感・抜け・距離感の総合点が高いからだ。X FORGEDは“新作が出たらすぐ乗り換える道具”ではなく、選手が信頼を積み上げるための道具として評価されてきた。

なお、現在のツアー使用情報としては、PGAClubTrackerにPhil Mickelson、Min Woo Lee、Nicolai HojgaardらのX Forged使用、またMatt Wallace、Kyoung-Hoon Lee、Talor GoochらのX Forged CB使用が掲載されている。これは公式WITB一覧ではないため参考情報の扱いが妥当だが、少なくともX FORGED系が今でもツアーで見かけるモデルであることは確かだ。

 

主要モデルのロフト比較

性格の違いは、数字を見ると一気にわかる

ざっくり整理すると、X FORGEDの流れはこうだ。

初代2007
7番34度 / PW46度
→ 伝統的ロフト。高さ・スピン・操作性重視。

2013
7番34度 / PW46度
→ 名器評価の中心。顔・抜け・打感の完成度が高い。

2017・2018
7番33度 / PW45度
→ 現代的な番手フローへ進化。飛びすぎず、でも距離のつながりは改善。

2019 STAR / 2024 STAR
7番29度 / PW43度
→ X FORGED思想を保ちながら、飛距離と寛容性へ大きく振った系統。

2024日本仕様 / 2025海外仕様
7番33度 / PW46度
→ 現代の競技アイアンとして再整理。特に2024日本仕様は打感・抜け・顔を強く意識。

この並びを見ると、X FORGEDは単純に“新しいほど飛ぶ”ではなく、
本流=33〜34度の競技派
STAR=29度の飛び系鍛造
という二極構造を作ってきたことがわかる。
ここにシリーズの面白さがある。

 

結論:X FORGEDとは何だったのか

X FORGEDの歴史は、単なるモデルチェンジの歴史ではない。
それは、キャロウェイが「やさしいだけのメーカー」では終わらず、打感・顔・操作性を求めるゴルファーにも本気で向き合ってきた証明である。2007年の初代で扉を開き、2013年で名器になり、2017〜2018年で現代化し、STARで裾野を広げ、2021年CBで競技性能を再解釈し、2024〜2025年で日本発の価値を世界に返していった。

だからX FORGEDは、ただ“昔の名器”ではない。
いまなおアップデートされ続ける、キャロウェイの美学そのものなのだ。

 

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