はじめに
広さが約75万平方メートルある栗林(りつりん)公園は、日本最大級の大名庭園です。南庭と北庭という2つの庭からなり、園内には6つの池や13の築山など、約60の名所があります。
ミシュラングリーンガイドでは3つ星を受け、日本庭園のランキングを紹介するアメリカの庭園雑誌では、ベスト3に選ばれたこともある、海外の観光客にも人気の高いスポットです。
栗林公園の歴史
栗林公園は、室町時代の終わりに豪族の佐藤道益(さとうみちます)が別邸に庭園を造ったことにはじまります。現在も、その当時の石組・小普陀(しょうふだ)が園内に残されています。
生駒氏の別荘だった桃山時代に、ため池を多く造ったことで知られる西嶋八兵衛が、近くを流れる香東(こうとう)川の治水工事を行い、それに伴って南庭一帯が造園されました。
江戸時代には、水戸光圀の実兄である高松藩初代の松平頼重から5代目の松平頼恭(よりたか)まで、約100年に渡って庭園改修が行われます。
博物学好きとして知られる松平頼恭。平賀源内を大抜擢して、江戸城の吹上御殿にあった薬草園を参考に、現在梅林のある場所に薬草園を造らせました。
北庭は、もともとは歴代の藩主がカモ猟を行った場所でしたが、明治末から大正のはじめにかけて半洋式の庭園として整備されました。
栗林公園の特徴について
多くの日本庭園と同じく、栗林公園は神仙思想にもとづいて造られた庭園です。
神仙思想とは、仙人(神仙)がいると信じ、不老不死になるため自分も仙人になろうと願う思想のこと。
神仙思想に影響を受けた中国の歴代の帝は、仙人の住む島を表現した庭園を造りました。
日本にもその思想が伝わり、平安時代ころから神仙思想にもとづいた庭園が造られるようになります。
南庭の南湖に浮かぶ仙磯(せんぎ)という岩組は、仙人が住むといわれている蓬莱島をイメージして造られています。
栗林公園には「栗林」という言葉が使われていますが、生駒氏の時代に凶作などの対策として植えられていた栗の木はあまり残されていません。
その代わりに、園内には箱松、鶴亀松、お手植え松など1,400本の松が植えられています。
特に、南庭の掬月亭(きくげつてい)横に植えられた根上り五葉松(ねあがりごようまつ)は、11代将軍家斉(いえなり)公からいただいた盆栽が、高さ約8mの巨木に育ったという珍しいものです。
栗林公園の見どころ
富士山を模した南庭の展望スポット・飛来峰(ひらいほう)からは、南湖にかかる弓なりの偃月橋(えんげつきょう)越しに、茶屋・掬月亭や借景の紫雲山を見渡すことができます。
南湖を周遊する舟に乗って、南庭を水の上から眺めるのもおすすめ。舟のチケットは一日の枚数に限りがあるので、乗車予定の方は早めにお買い求めください。
栗林公園では、春の桜、夏の蓮、秋の紅葉、冬の雪景色、とその時々で違った風景を楽しむこともできます。
まとめ
栗林公園では、事前予約すると園内の花園亭で朝粥を食べることができる他、北庭の商工奨励館で香川県の工芸品の展示や実演を見たり,讃岐民芸館で「昭和の小堀遠州」とも呼ばれる中根金作が設計した中庭を鑑賞したりすることもできます。
庭園を散策する以外にもいろいろな楽しみ方ができる栗林公園。ぜひ、1度訪れてみてください。
栗林公園の詳細情報
住所:香川県高松市栗林町1-20-16
開館時間: 年中無休。日の出から日没まで(その月によって変動)
入園料: 大人410円、小人170円
アクセス:
JR高松駅から車で約7分
JR高徳線栗林駅から徒歩20分
JR高徳線栗林公園北口駅から徒歩3分
ことでん琴平線栗林公園駅から徒歩10分
ことでんバス栗林公園前バス停から徒歩1分