筆者が実際に演奏を聴き「この人はお勧め!」と太鼓判を押すジャズミュージシャンをご紹介するシリーズ。
第2回は「ベテラン&若手ドラマー」です。
「世界が認めるジャズドラマー」奥平真吾
奥平真吾(おくだいら しんご)プロフィール
1966年、東京都出身。
9才の時にジャズクラブのセッションにおいてドラミングを披露、11才の時にデビュー・アルバムをリリース、24才の時に更なる飛躍を求めてニューヨークに移り住む。その19年間のニューヨーク生活において、ベテランといわれるミュージシャンから、中堅や同年代のミュージシャン達との交流は数多く、ニューヨークに於いてSHINGOの愛称で親しまれる。ニューヨーク滞在中には、奥平真吾のニューヨーク・ユニットとして日本国内のツアーも幾度か行っている。2010年7月に日本へ帰国、これを機に奥平真吾The Forceを再編し、 ドラマーをリーダーとする先鋭的なバンドとして活動を行っている。ピュアなジャズドラマーとして世界が認めるドラム奏者である。
引用:Shingo Okudaira Official Web Site
天才少年と呼ばれ、一躍時の人に
1970年代、TVなどで「ドラムの天才少年現る!」と超話題になったのを覚えている方もいらっしゃるでしょう。
かくいう筆者も「私よりもちっちゃい子が凄いな~」とびっくりした記憶があります。
40数年後、彼のファンとしてしばしばライブに訪れることになるとは思ってもみませんでした。
その当時の動画をご紹介しましょう。司会は坂本九さん。中村八大さんとの共演もあります!
1曲目は「Autumn Leaves(枯葉)」、2曲目は中村さんがピアノで共演する「A Night in Tunisia(チュニジアの夜)」。
ニューヨークでの19年に渡る演奏生活を経て凱旋帰国
そんな奥平さんも現在は50歳を過ぎ、ベテランと呼ばれる立場になりました。
パワフルさと繊細さが見事に融和した名手として、世界にその名を轟かせています。
彼の演奏は耳の肥えたジャズファンのみならず、ジャズ初心者の方に是非聴いていただきたい!
ジャズの演奏では、1曲の中で各楽器が順番にソロを取ることがあり、その間他の楽器はサポートに回ります。ドラムソロの時、初心者だと元のリズムと全然違うように聴こえてしまい「あれ? あれ?」となることがよくあるのですが、奥平さんの場合はそれがあまり無いのです。以前筆者がその事をご本人にお話したところ「そういう事も考えて演奏しています」と仰っていました。
じっくり聴いていると、ドラム自体が見事に「歌って」いるのがよく分かります。
天賦の才能、たゆまぬ努力、優しく誠実な人柄などが結晶化されたような音というべきでしょうか。
彼の手にかかると、メロディを奏でないドラムという楽器が不思議な魔法の力を得て、美しい音楽の世界に誘ってくれるのです。
ライブ動画をご紹介
Work Song
2017.12.14 大山日出男QUINTET 「キャノンボール・アダレイ特集」 東京・岩本町 Tokyo TUC
大山日出男(as),岡崎好朗(tp),片倉真由子(pf),伊藤勇司(b),奥平真吾(ds)
奥平さんは多くのミュージシャンと様々な編成で活動しています。
自身が率いるユニットもあり、CDも出していますよ。
筆者が特にお気に入りなのは、ギターまたはピアノ、ベースとのトリオ編成です。
詳しいプロフィールやスケジュールは、公式サイトをご覧ください。
Shingo Okudaira Official Web Site
「期待の若手」北井誉人
北井誉人(きたい くにと)プロフィール
1995年 奈良県生まれ。
小学校の「音楽部」で打楽器と出会い、9才よりドラムを叩き始める。高校まで9年間の吹奏楽経験の後、国立音楽大学ジャズ専修に入学。大学在学中には2014年に東京工業大学Los Guaracherosとしてヤマノビッグバンドコンテストに出場、2015年からは国立音楽大学Newtide Jazz Orchestraに所属し、2016年は同バンドのバンドマスターを務める。
14年にジャズギタリスト増尾好秋氏のバンドメンバーに抜擢されプロのキャリアをスタートさせる。
15年 飛鳥IIクルーズコンサートにて小曽根真Trioとして演奏。16年 小曽根真率いるジャズ専修を有する音楽大学からの選抜バンド「JFC All Star Big Band」に抜擢され東京ジャズに出演。17年 Matthew Herbert’s Brexit Big Bandに参加。Montreux Jazz Festival Japan と Blue Note Tokyo に出演。
18年 角松敏生 ”BREATH from THE SEASON” ツアーに参加。スクエアエニックス「SQUARE ENIX JAZZ -FINAL FANTASY-」,木崎ちあき原作 アニメ「博多豚骨ラーメンズ」の劇中音楽 に参加。
現在、増尾好秋MAGATAMA、エンタメジャズバンド「Calmera」のサポートを中心に、様々なライブやレコーディングなどでジャンルを問わず活動中。
未来の日本ジャズ界を担う新星!
以前の記事「今、日本のジャズが面白い!」で取り上げた「孫世代」に当たります。
ここ20年位で設置が増えて来た「音大のジャズ科」出身です。まさにイマドキのジャズミュージシャンといえましょう。
国立音大ジャズ専修在学中「世界のMASUO」こと増尾好秋さん(g)のバンド「Power Spot」に抜擢され、18歳でプロデビューを果たしました。
その後「Power Spot」は「MAGATAMA」となりメンバーが入れ替わったものの、北井さんはそのまま残り、新たなメンバーと共に活動しています。「MAGATAMA」はアメリカ在住の増尾さんが毎年3~6月・9~12月に日本ツアーを行う際に演奏を行っています。
自身のリーダーライブも含めた様々な経験を積みつつ、目覚ましい成長を遂げている真っ只中の北井さん。
そのプレイは溌剌としてパワフル! 細身の体から放つ勢いのある音は、聴く者に元気と笑顔を与えてくれます。
最近はそこに瑞々しい情緒も加わり、大人の世界に踏み込み始めた印象を受けます。これからどう成長していくのか、ますます楽しみ。
目の離せない、大注目若手ドラマーです!
ライブ動画をご紹介
Break Time
2018.9.2. 東京・四谷 Möbius
しるくにらんか:北井誉人(ds),安田昌弘(pf),中原豪士(b)
北井さんがリーダーのラテンジャズ・ピアノトリオ「しるくにらんか」ライブ動画です。
曲は「しるくにらんか」のオリジナル。心ときめくゴキゲンなチューンですね。
結成して間もないこのトリオ、今後がとても楽しみです。
北井さんの詳しいプロフィール、そしてスケジュールはこちらをご覧ください。
まとめ
いかがでしたか?
メロディを奏でない楽器「ドラム」でも、演奏者によってまったく違う音の世界が広がります。
ベテランと若手、それぞれの良さを是非ライブでお楽しみください!
今後も日本のジャズミュージシャン特集記事を予定しています。
テーマや楽器ごとにたくさんのミュージシャンをご紹介していきますので、お楽しみに!
前回の特集記事はこちらです。