はじめに
住所は京都ですが、奈良から行ったほうが近い浄瑠璃寺。少しアクセスは不便ですが、紅葉シーズンにぜひ訪れてみていただきたいお寺です。
浄瑠璃寺の歴史
浄瑠璃寺は、奈良県の西大寺を総本山とする真言律宗のお寺です。1047年(永承2)に、豪族の阿知山大夫重頼(あちやまだいぶしげより)が支援して、義明上人が開山したといわれています。739年(天平11) に、聖武天皇の依頼によって行基が開山したという説も。
浄瑠璃寺はもともと法相宗・興福寺一乗院の末寺でしたが、明治時代に一乗院が廃寺になり、西大寺の末寺となりました。
本堂に9体の阿弥陀如来坐像が並んでいるので、九体寺とも呼ばれています。2018年(平成30)の7月から2体が修復作業のために他の場所へ移されたため、残念ながら現在は7体しか阿弥陀如来を見ることができません。
9体の阿弥陀如来をまつる九体阿弥陀堂は、平安時代後期には30以上あったのですが、当時の状態で現在残されているのは、浄瑠璃寺だけです。
浄瑠璃寺庭園の特徴について
浄瑠璃寺庭園は、1150年(久安6)、一乗院恵信が作庭。その後、少納言法眼が改築したといわれています。
前回ご紹介した毛越寺庭園と同じく浄土庭園である浄瑠璃寺の庭園。三重塔側(東側)がこの世、池をはさんで本堂側(西側)があの世をあらわしています。三重塔には薬師如来が、本堂には9体の阿弥陀如来がまつられています。三重塔は、1178年(治承2)に京都の一条大宮から移築されたものです。
春と秋のお彼岸には、三重塔側から見ると、太陽が9体の阿弥陀如来像の真後ろに沈む様子を見ることができるそうです。
浄瑠璃寺では、三重塔前で中に安置されている薬師如来を拝んだ後、振り返って本堂の阿弥陀如来を拝むのが、正式な参拝方法なのだとか。
中央の池は、梵字の「阿」の字をかたどったもの。この形は、平泉にある観自在王院の池を逆さまにした形と似ているそうです。観自在王院の池のほうが後でできたのですが、形が似ているのは、庭を造った一乗院恵信の両親が2人共、藤原氏であることが関係しているのでしょう。恵信の父の藤原忠通は、京都から毛越寺に本尊の薬師如来像を届けた立役者でもあります。観自在王院を建立したのは、毛越寺を造営した藤原基衡の妻です。
わたしは30数年前、修学旅行で浄瑠璃寺を訪れたのですが、この庭園で見た紅葉の景色が忘れられません。かなり色があせてますが、これがその時に撮影した写真です。
浄瑠璃寺の紅葉シーズンは、11月中旬から下旬です。関西花の寺二十五カ所の1つに選ばれている浄瑠璃寺では、それ以外の季節も様々な山野草を見ることができます。
浄瑠璃寺の見どころ
浄瑠璃寺は、1212年(建暦2)に造られた吉祥天像が安置されていることでも知られています。ちょうど、秋の紅葉シーズン(10月1日~11月30日)には厨子の扉が開かれ、吉祥天像を見ることができます。
こちらは、わたしが浄瑠璃寺に行った時に購入したポストカードです。アルバムからはがそうとしたところ、折れて白い線が出たため、背景を修正しました。
岩船寺まで続く約2キロの道には、当尾の石仏(摩崖仏)が点在。この道をハイキングがてら歩いて、2つのお寺をはしごするのもおすすめです。道の途中では、無人スタンドで野菜や漬物なども販売されているので、おみやげに買うのも良いかもしれません。岩船寺からのルートの方が、下り坂なので楽に歩けます。2つのお寺を通るコミュニティバスもあるので、それに乗って移動することもできますよ。
まとめ
浄瑠璃寺の敷地はあまり広くないですが、平安時代の庭園が当時の状態に近い形で残されています。自然に囲まれた環境の中、時間を多めにとって、のんびりお庭を眺めてみてはいかがですか。
浄瑠璃寺の詳細情報
住所:京都府木津川市加茂町西小札場40
開館時間:3月~11月:9:00~17:00、12月~2月:10:00~16:00
拝観料:400円
アクセス:JR奈良駅・近鉄奈良駅から奈良交通バス・急行浄瑠璃寺行きで浄瑠璃寺バス停下車
JR 加茂駅から木津川市コミュニティバス当尾線・加茂山の家行きバスで浄瑠璃寺前バス停下車、徒歩約3 分