1月も既に終盤。時が経つのは早いものです。
お正月気分もすっかり抜け、ややお疲れモードの方もいらっしゃるかもしれませんね。
今年最初の「ジャズ豆知識」は「ある部分がそっくりな曲」をお届けします。
ジャズは格好良い・美しいだけではありません。時には思わず笑ってしまうような事も。
この記事でクスッとなって、また明日から元気に過ごしていただければ幸いです。
美しき学生時代の愛
Beautiful Love
メロディの最後部分、0:47~0:52付近をよ~くお聴きください。
1931年作曲。3人による合作となっていますが、実質はヴィクター・ヤングが作曲したそうです。
1944年の『シング・ア・ジングル』というラブコメディ映画にも使用されました。
ビル・エヴァンスによる演奏でジャズのスタンダートとなった名曲です。
アニタ・オデイのボーカルでお届けしました。
学生時代
私たちシニアにはお馴染みの曲ですね。0:58付近が該当部分です。
ジャズギタリスト・増尾好秋さんと直居隆雄さんのデュオライブでのエピソード。
「Beautiful Love」を演奏する前に、直居さんがこの2曲がそっくりというお話をしてくださいました。
ところが、増尾さんは「学生時代」をご存じなかったそう。
「学生時代」が発表されたのは1964年。
増尾さんは当時18歳で、がっちりジャズ漬けの日々でした。
しかもその数年後に渡米され、現在に至るまでアメリカ生活をしていらっしゃる方。
なので、この曲をお聴きになる機会が殆どなかったのも頷けるのです。
そして演奏が始まったのですが……
「♪がくせ~い~じ~だ~い~♪」を、お二人がユニゾンでしっかりがっつり強調!
直居さんはいたずらっ子のようなニコニコ顔。
増尾さんは「ん~、よく分からないけどこうすべきだよね?」といった感じの「キョトンとした顔」。
お二人の表情と見事なユニゾンとのギャップで、店内は爆笑の渦に包まれたのでした。
センチメンタルに見守るさけ茶づけ
In A Sentimental Mood
0:12から始まる印象的なメロディが、問題(?)の部分。
1935年、デューク・エリントンが作曲した楽曲です。
ジャズを聴かないという方でも、どこかでお聴きになったことがあるのではないでしょうか。
愁いを帯びたメロディ、そしてこのタイトル。まさに日本人好みだと思います。
後に歌詞も付けられ、多くの歌手が歌っています。
Someone To Watch Over Me
わりとすぐメロディが始まります。0.03付近から。
1926年、ガーシュウィン兄弟が『オー・ケイ』というミュージカルのために作曲したもの。
「In A Sentimental Mood」より先に発表されています。
近年不動産会社のCMでも使われていたので、耳にされた方も多いのでは?
インストゥルメンタル版と、平原綾香さんのボーカル版があったと思います。
こちらも世界各国沢山の大歌手たちが歌っていますよ。
今回はフランク・シナトラバージョンでご紹介しました。
それにしてもそっくりです……。
函館の女(ひと)
短く『さけ茶づけ』のCMで。
あるライブで「In A Sentimental Mood」を聴いた際、何故かどうしてもタイトルが思い出せなかったことがあります。
その時演奏されていたギタリストの井上智さん(以前こちらでもご紹介しました)に恐る恐るお尋ねしたところ
「サブちゃんね! ♪は~るばる~きたぜ函館へ~♪」と歌って下さったのでした。
ジャズギタリストさんに演歌を歌っていただくという、稀有な体験。
もう二度とタイトルを忘れることはないでしょう。
こういった楽しい出来事に遭遇できるのも、ライブの醍醐味のひとつです。
ジャズライブ未体験の方は是非、今年こそ足を運んでみてくださいね。
これからもジャズ豆知識は不定期で連載していきますので、お楽しみに!
過去の豆知識記事はこちらです。