今年は春の訪れが早いというのが気象予報士さんの見立てのようです。今回は「和菓子で春を味わう」と題してお送りします。すっかり春めいてきました。お友達とお茶を飲みながら、春のお菓子を満喫しませんか。春らしいお菓子、春の趣向にピッタリの和菓子をご紹介します。
どうしてお抹茶を飲む前にお菓子を全部食べてしまうのか?
春のお菓子をご紹介する前に、いたって素朴な疑問から「どうして、いっぺんにお菓子を食べてしまうのか?」について解説します。お茶席でいつも疑問に思うという方は多いはず。
茶道ではお抹茶が主役だというのがその理由です。お抹茶をおいしくいただくために和菓子を先にいただきます。お菓子のためにお茶があるのだと勘違いしておられる方が多いようです。逆なんですね。
お菓子の種類
千利休の時代、甘いお菓子は貴重品でした。千利休のお茶会に供せられた菓子目録を見ると、椎茸、果物、煎り豆、昆布といった菓子が見受けられます。今ではとてもお菓子といえないものばかりです。
今の和菓子は大きく2つに分類されます。1つは主菓子です。主菓子とは餡子と自然薯を使った「薯蕷饅頭」や、餡子を練った「練り切り」、「羊羹」などがあります。
もう1つは干菓子です。干菓子には金平糖や落雁、煎餅などがあります。主菓子は濃茶に供せられ、干菓子は薄茶に供せられるのが一般的です。
茶会にオススメしたい「春の和菓子」
ひし餅
桃の節句にかかせない「ひし餅」。
桃の花の桃色は古代中国では魔除けを意味しています。
女の子が健康で元気に育つようにとの願いがこめられたお菓子。
白は雪をあらわし、緑はやがて芽吹く新芽を蓬餅を使って表現しています。
かしわ餅
お餅を柏か「サルトリイバラ」の葉で包んだお菓子です。
柏の葉は新芽が育つまで古い葉が散らないため、家族の健康や子孫繁栄を意味する縁起の良い木とされてきました。
さくら餅
塩漬けにした桜の若葉で包んだ「桜餅」。
関西では道明寺粉を用いた「桜餅」が主流です。
道明寺粉の由来は大阪府藤井寺市にある「道明寺」だといわれています。
ちなみに、桜の葉を食べるのか食べないのかの論争がありますが、食べる派が多いそうです。
食べると塩味と桜の香りがほんのりとします。
粽(ちまき)
日本では主にお菓子として粽(ちまき)を食べますが、中国ではもち米に豚肉やタケノコ、椎茸などを混ぜて蒸した粽が主流です。
本来は、もち米を笹の葉で包んで灰汁で煮込んで作ります。
ぼた餅
春のお彼岸に食べるのは「ぼた餅」、秋のお彼岸に食べるのは「お萩」です。
どちらも同じものですが、呼び方が違います。面白いですね。
春の「ぼた餅」は牡丹の花から、秋の「お萩」は萩の花から名前がきています。
まとめ
春のお茶会にピッタリの和菓子をご紹介しました。それぞれに健康や幸福を祈る縁起の良い意味あいが込められているようです。おいしい「かしわ餅」や「ぼた餅」があるからお茶会を開きます。桃の節句なので「ひし餅」でお茶会でもどうでしょう。お菓子はお茶会の趣向(お茶会をする理由)にもなります。