秋も深まり、そろそろ熱燗が五臓六腑に染みわたる季節を迎えます。今回は、晩酌のすすめと題してお送りします。おすすめの晩酌セットや素敵な酒器をご紹介します。また、晩酌の定義についても考えてみました。
晩酌の定義・晩酌の由来は茶道から来ている?
茶道の世界では、茶会ともうひとつの茶事と呼ばれる催しがあります。茶事というのは現在の懐石料理の原型とされ、初座では懐石が催され、後座では濃茶を点ててもてなします。
懐石ではお酒と肴(山海の珍味)がふるまわれ、亭主と招かれた客とが互いに盃(千鳥の盃)を交わします。
初座にお酒が入ることで、ほろ酔い気分の和らいだ雰囲気を醸し、リラックスしたムードで後座の濃茶へと移行することができるのです。
現在の夕食の前の15分ほどの晩酌の習慣は、茶事における初座の習わしからきているという説が有力です。
仮に茶事の懐石が晩酌の起源だとしたら、晩酌は、あまり酔わない程度、ほろ酔い程度に抑える飲み方が理想的です。
夕食が和やかな雰囲気で美味しくいただけること、これが晩酌の定義ということになるでしょう。
夕食の前の15分から30分程度、量は徳利一本(日本酒一合)程度に抑える飲み方が晩酌の定義と言えそうですね。
晩酌帖
イカの塩辛と日本酒
なんといっても日本酒によく合うのはイカの塩辛です。以下の動画の塩辛は、日本酒ではなくて、赤ワインで作っているので、赤ワインとの相性もぴったり。
【作り方】
1、新鮮なスルメイカをさばいて、肝から口を持って食道を引き抜きます。
2、肝には塩をまぶして、冷蔵庫で一晩ねかせます。
3、イカの胴とゲソには塩をふって一晩風干しします。
4、一晩風干ししたイカの胴とゲソを適度な大きさに切り
5、2の肝、日本酒(または赤ワイン)を混ぜて和えます。
6、和えたものを冷凍室で一晩凍らせて、冷蔵庫に移して解凍させたら完成
「なれずし」と吟醸酒
「なれずし」というのは、現在の寿司の原型とされるもで、お酢を使わず、乳酸発酵させて作るお寿司です。
有名なものに、滋賀県の「鮒ずし」や熊野地方の「秋刀魚のなれずし」などがあります。
【作り方】
1、新鮮な魚(秋刀魚やアジ、サバなど)を開きにして、3日ほど塩漬けにします。
2、塩漬けにした魚を、薄い塩水につけて3時間ほど塩抜きします。
3、塩抜きした魚と、硬めに炊いたご飯で姿寿司の状態にして、桶や漬物容器に並べます。
4、海水と同じ程度の塩分濃度の塩水を作って浸るくらいまで注ぎます(湯冷ましを使用)。
5、浮き上がらない程度の重石をして1カ月から数カ月、乳酸発酵させます。
6、発酵したら、水分を捨てて、逆さにして一晩、水分を切って完成。
素敵な酒器や器のご紹介
台皿で楽しむ晩酌
酒の肴を画像のような台皿に盛りつけると、豪華で楽しい晩酌になりますよ。
ちょっとした珍味が特別な酒の肴になりそうですね。
本窯の徳利やぐい呑
こちらの窯元が作る焼物は、本窯といって、薪を燃やして焼成しているので、炎が自然釉を溶かした独特の味わいがあります。電気窯やガス窯で焼いた器とはまた一味違います。
定義を理解して乙に晩酌を楽しもう
晩酌の定義や楽しみ方についてご紹介してきました。晩酌は適度な量に抑えて夕食が楽しく美味しくいただけるようにしましょう。酔っぱらってしまって、今夜は晩御飯いらない。なんてことにならないように、乙に晩酌を楽しむようにしてください。