オルフェーヴル

彼は三冠馬だった。
だが、
“完璧”ではなかった。
むしろ、真逆だった。
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■ 三冠は「支配」だった
2011年。
皐月賞。
ダービー。
菊花賞。
菊花賞 の直線は異様だった。
最後方から、馬群を飲み込む。
あれは追い込みではない。
破壊だった。
日本は確信した。
「怪物だ」
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■ だが、制御不能だった
2012年
阪神大賞典
圧倒的1番人気。
向正面で先頭へ。
そして突然、失速。
外ラチへ向かう。
止まる。
観客は静まり返った。
レースをやめた。
だが再び走り出す。
そして2着。
勝ったのではない。
常識を壊した。
天才は、暴君でもあった。
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■ 凱旋門賞2012
舞台は
凱旋門賞
パリ。
重い芝。
世界最強の舞台。
直線、突き抜ける。
完全に抜け出した。
日本が勝つ。
そう、確信した。
だが――
残り200m。
外へ。
集中を失う。
ソレミアに差される。
2着。
日本中が崩れ落ちた。
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■ なぜ逸れたのか
彼は繊細だった。
気性が激しく、
スイッチが切れる。
だから暴君。
だが、それが彼の個性だった。
完璧なら、
あのドラマは生まれなかった。
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■ 2013年、再び挑む
「今度こそ」
だが結果は再び2着。
凱旋門は遠い。
だが世界は認めた。
“日本の三冠馬は本物だ”と。
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■ 池添謙一との絆
池添謙一
何度も振り落とされそうになりながら、
乗り続けた。
暴れる天才を理解できたのは、
彼だけだった。
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■ 最後の有馬記念
2013年
有馬記念
直線、圧勝。
怪物のラストラン。
池添は泣いた。
観客も泣いた。
凱旋門は勝てなかった。
だが――
オルフェーヴルは伝説になった。
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■ オルフェーヴルが残したもの
勝利数ではない。
賞金でもない。
“震える直線”
それだ。
あの100mは、
今も競馬史に刻まれている。

