はじめに
ちょっと季節はずれにはなってしまうのですが、蓮の花の時期に鎌倉の光明寺に行ってきましたので、ご紹介したいと思います。
バス通りを光明寺の反対側に向かうと材木座海岸が広がり、東側のトンネルを越えれば逗子マリーナに到着する、少し鎌倉でも穴場な場所に建つ光明寺。あまり人が訪れないので、鎌倉リピーターの方におすすめしたいお寺です。
光明寺の歴史
鎌倉幕府の4代執権・北条経時が、浄土宗の然阿良忠(ねんなりょうちゅう)のために建てたお寺が光明寺のはじまりです。その後、現在の場所に移転して、光明寺と名前を改めました。
関東地方での布教活動、京都の浄土宗を復興するなど、多くの功績を残した然阿良忠。伏見天皇から、亡くなった後に「記主禅師」という名前を賜ります。
1847年(弘化4)に造られた山門は、鎌倉のお寺の門としては最大のもの。山門には後花園天皇による扁額が掲げられるなど、皇室に縁の深いお寺です。
終戦から間もない1946年(昭和21)には、鎌倉アカデミアの仮校舎となります。自由な校風で知られた鎌倉アカデミア。村山知義や高見順、林達夫などの教授陣が授業を行い、山口瞳、鈴木清順、前田武彦など多くの著名な卒業生を輩出しました。
光明寺の特徴について
光明寺には、本堂の左手(北側)・開山堂の前あたりに記主(きしゅ)庭園、右手(南側)に三尊五祖来迎の庭があります。
記主禅師の名からとられた記主庭園は、小堀遠州が造ったともいわれている浄土庭園です。浄土庭園とは、お堂の前に蓮池を造り、極楽浄土を表現しようとした庭園のこと。記主庭園の池も、夏には1000年前や2000年前の古代蓮が満開になります。
わたしが訪れたのは8月はじめの10時ころで、一部の蓮がピンク色の花びらを広げていました。7月下旬には観蓮会が開催され、蓮の茎に穴を空け、そこからストローのようにお酒を飲む、という象鼻杯(ぞうびはい)が行われます。また、池の奥に建つ大聖閣(たいしょうかく)で抹茶をいただくこともできます。
本堂の反対側にある三尊五祖来迎の庭は、三尊(阿弥陀仏・観音菩薩・勢至菩薩)、浄土教を広めた五祖(釈尊・善導・法然・鎮西・記主)を岩で表現した枯山水庭園で、1973年(昭和48)に造られました。手前のサツキは、迷いの世界にいるすべての生き物(衆生)をあらわしているそう。本堂の回廊にはベンチが置かれているので、風に吹かれながら、のんびり眺めるのもおすすめです。
光明寺の見どころ
本堂の手前を右手に上った裏山には、長い箱状の展望台が設置されていて、木の隙間から鎌倉の海や長谷方面を眺めることができます。天気が良ければ、富士山が見えることも。本堂からは2~3分で歩けるので、ぜひ上ってみてください。
光明寺では猫も多くみられるそうですが、真夏だったからか発見できませんでした。猫好きな方は、秋や冬など、猫が出てきそうなシーズンを選んで出かけてみてください。
まとめ
鎌倉4大寺院の1つに数え上げられる光明寺。10月の12日~15日には、500年以上続く行事・十夜法要も開催されます。海の前にあるためか、開放的な雰囲気があるので、ぜひふらりと庭を見に立ち寄ってみてください。
光明寺の詳細情報
住所:鎌倉市材木座6-17-19
開館時間:7:30~16:00 (夏季 6:00 ~ 17:00)
拝観料:無料。
山門:500円(20名以上で予約が必要。行事開催時には、予約なしで入場できることも)。
精進料理:4,500円と5,500円のコース(2名以上で、3日前までに予約。十夜法要の期間と年末年始は休止)
アクセス:JR横須賀線鎌倉駅バス7番のりばから小坪経由逗子駅行きで10分、光明寺前バス停下車、徒歩1分