釣った魚をお刺身で食べたいと思っても、アニサキス症が心配という方も少なくありません。アニサキス症は正しい知識と対処で、防ぐことができます。今回は、すぐにでも役立つ、アニサキス対策について紹介します。
そもそもアニサキスってどんな寄生虫?
アニサキスはクジラやイルカのような、海の哺乳類に寄生する線虫です。海の中で卵が孵化し、オキアミに食べられて第3期幼虫になります。これを魚やイカが食べると第3期幼虫のままの状態をキープしますが、イルカやクジラなどが食べると、その体の中で成虫になるという、少し変わった成長の仕方をします。
アニサキスを食べた魚やイカを人間が食べると、アニサキスは、イルカやクジラのときのように成虫にはなりません。人間の体のなかは、アニサキスにとって環境が合わないため、胃壁や腸壁といった消化管の粘膜に潜りこもうとし、それが激痛として感じられるのです。
釣った魚はすぐに内蔵処理を!
アニサキスは、魚が生きている間は魚の内蔵にいます。しかし、魚が死んで時間が経つと、内臓の居心地が悪くなり、魚の身に移動し潜り込みます。人間は、そういった過程を経たお刺身を食べることで、アニサキス症にかかってしまいます。
釣った魚を安全に食べるには、できるだけ早急に内蔵処理をしてしまうことがポイント。釣りから帰ってくると、疲れてクーラーボックスに釣った魚を入れたまま翌朝処理、なんてことは危険です。疲れていても、内臓やエラの処理をして、魚を安全な状態にすることをおすすめします。
アニサキスを無害にするには?
アニサキスは、目視でも分かるほどの大きさのある寄生虫です。そのため、しっかりとチェックして取り除くことが大切です。しかし、それだけではやはり心配も残るもの。アニサキスを無害にする方法をチェックしておきましょう。
(1)冷凍する
釣った魚を冷凍してから調理に使うのは、少しもったいない気がしますが、確実な方法としては、-20℃で24時間以上冷凍することでアニサキスを死滅させることができます。釣り場から自宅までが遠く、内臓処理に時間がかかってしまった場合などは、念のため、内臓処理したものを一度冷凍してから解凍し、お刺身で食べることをおすすめします。
(2)加熱する
アニサキスは、70℃以上なら即時、60℃なら1分の加熱で死滅します。煮炊きものや揚げ物などは、アニサキス症の心配がなくおすすめの調理法です。ただし、身の内側までしっかりと火を通すことがポイント。不十分な加熱にならないよう気を付けましょう。
ファミリーフィッシングの際には気を付けて!
これからの季節、堤防からのイワシ・アジ・サバなどをターゲットとしたサビキ釣りをファミリーで楽しむ人も多くなります。アニサキスは、イワシやアジ、サバ、イカなどに寄生していることが多くあり、注意が必要です。特に小さな魚は鮮度が落ちやすいため、アニサキス症だけでなく、ヒスタミン中毒のリスクも高まります。処理のポイントをおさえて、安全に釣る&食べるを楽しみましょう!