「釣りのあとに手荒れをする」という現象に、思い当たる節がある方がいらっしゃるかもしれません。釣りの後、手指の皮がめくれたり、指先がチクチクむずむずする経験をしたことがある方も多いのでは?釣り後の手荒れの原因は、オキアミやイソメが関係しているかもしれません!今回は、釣り後の手荒れの原因や、手荒れしないための対策についてご紹介します。
オキアミが手を溶かすって本当!?
画像:筆者撮影
見ためがまるでエビのようで、虫エサが触れない方からも人気のオキアミ。釣り餌のなかでもポピュラーなものですが、エビとは別の甲殻類でプランクトンの1種です。フカセ釣りでグレやチヌなどを釣る際に使われることが多くありますが、それ以外にも真鯛やイサキ、ガシラにアイナメ、キスなどさまざまな魚をターゲットにできる人気の餌です。
オキアミは、プロテアーゼという酵素をもっています。プロテアーゼには、長いタンパク質鎖をより短い断片に消化する作用があり、オキアミを触った後に手の皮がむけやすくなるのは、プロテアーゼの作用によるものが大きいと考えられます。
オキアミによる手荒れ対策は?
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オキアミで手荒れをする方は、生ではなくボイルを使うのがおすすめです。東京家政学院短期大学栄養研究室が発表した「オキアミの煮熟処理による酵素の失活および化学成分の変化について」によると、「煮熟処理を2分間行なうと抽出されてくるプロテアーゼ活性は約22%にまで低下し,5分間で約10%に,15分間の煮熟 処理では,プロテアーゼ活性はみとめられなかった」という実験結果が出ています。
手荒れを引き起こす可能性があるプロテアーゼは、加熱することでその作用が低下または消失すると言え、ボイルのオキアミでは、生のものに比べると、手荒れが起こる可能性が低いと考えられます。
イソメ毒が手荒れの原因?
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釣り餌に、イソメを使う方は多いのではないでしょうか。しかし、そのイソメが毒を持っていることを知っている方はそれほど多くはいません。イソメは、麻痺性の「イソメ毒」という毒を持っています。釣り餌として使用できるのは、イソメが生きているときは毒を出さないためです。イソメは、キス釣りではゴカイ(ゴカイには毒はありません)同様に人気餌であることからもわかるように、イソメ毒は生きているイソメを経口摂取をしても問題がなく、イソメ毒を含んだ水が麻痺作用を持つとされています。
イソメ毒はどこにある?
イソメ毒は、イソメの体表面のみにあるとされ、なおかつイソメが死んだあとすぐに分泌されることが、神戸市立須磨水族館と東京大学農学部水産学教室の共同研究で発表された「イソメ毒 (nereistoxin)の水産動物に対する毒性について」で明らかにされています。イソメ毒が手荒れの原因になるかどうかはわかっていませんが、イソメを短くちぎって釣り餌に使ったあとに手指が荒れる経験をしたことがある方のなかには、手荒れとイソメ毒の関係性を疑う声もあります。死後のイソメの体表を触ったり、イソメをちぎって使うことが多い方は、手指の触れ方に注意するのも良いのではないでしょうか。
イソメによる手荒れの可能性への対策は?
画像:OWNER公式HPより
イソメ毒が手荒れの原因になるというエビデンスは、見つけることはできませんでした。しかし、可能性はゼロではないため、イソメによる手荒れが気になる方は、指サックや手袋などで手指をカバーし、イソメ毒が直接手指に触れないようにするのがおすすめです。釣り具メーカーのOWNER(オーナー)から販売されている「虫ピンチ」などを使えば、イソメを触らず、針に掛けることができますよ!便利グッズを活用して、イソメ毒対策をしてみてはいかがでしょうか。