はじめに
みなさんは茶道と聞いて、何を連想されますか?織田信長や豊臣秀吉など戦国の世を生きた武将たちを連想する、破天荒な古田織部の茶碗を連想する人など、さまざまだと思います。茶道は人生を豊かにしてくれる奥深い世界です。今回は、お茶の基本となる「平点前」についてご紹介していきます。
■平点前について
平点前とは茶道の基本的な動作のことを指します。この基本をマスターしていれば、ほとんどのお茶会で応用することができます。宗祖である千利休は、「平点前こそ本道である」と言っています。「平点前」の所作を何度も繰り返して身体で覚えることが大切です。
茶道にはさまざまな流派があります。しかし、基本となる平点前はどの流派にも共通していて大差はありません。「平点前を習得している人とそうでない人とでは、立ち居振る舞いを見ればわかる」といわれています。「平点前」を習得していると、普段の何気ない動きにも美しい所作として現れます。
・袱紗さばき
お点前の基本になるのが袱紗さばきです。袱紗を自然に扱えるようになるまで「袱紗さばき」を何度も繰り返して練習しましょう。以下の動画「石州流・伊佐派・平点前」を見れば「袱紗さばき」がよくわかります。
袱紗さばきにはお茶室の空間を清める意味合いがあります。そのため、一回のお茶会で何回も「袱紗さばき」を行います。
・袱紗で棗と茶杓を拭く
「袱紗さばき」をしてから、棗を左手に持ち、棗の蓋を袱紗で拭きます。拭き方には流派によって多少の違いはあるものの大差はありません。例えば、裏千家では「こ」の字を書くようにして拭きますが、石州流では手前側から向こう側へ一度で拭きます。
棗を拭いたら、また「袱紗さばき」をして茶杓を拭きます。
・茶筅通し
茶筅通しは、茶筅の糸がほどけたり先端が痛んだりしていないか、また、器にひびなどが入っていないかを確かめるために行います。この茶筅通しも流派によって多少異なりますが、大差はありません。
茶筅通しが終わったら、茶碗のお湯を建水に捨てて、茶巾で器を拭きます。
・お茶をたてる
いよいよお茶をたてます。右手で茶杓をとって、左手で棗を持ち、茶杓を持つ右手で棗の蓋をとります。
棗から抹茶をすくって器に入れ、茶釜からお湯をくみ入れて茶筅でお茶をたてます。
お茶がたったら、お客の前に器をさしだします。
・客から器が返ってきたら
器がお客から返ってきたら、水指から水をすくって器に入れて、茶筅通しをします。
茶筅通しが終わったら、水を建水に捨てて、茶巾を器に入れ、その上に茶筅を乗せます。
・袱紗さばきをして茶杓を拭く
袱紗さばきをしてから茶杓を拭きます。
・建水、棗、器を所定の位置に移動させる
・茶釜に水指から水を足す
使った分の水を茶釜に水指から足してかき混ぜる「湯返し」をします。
「湯返し」をしたら、水指に蓋をして、柄杓を構えて茶釜に蓋をします。
・建水と柄杓を後ろへ置く
・右手に棗・左手に器を持って退室
・最後に水指を両手で持って退室
・入口で挨拶をしておしまいとします
※今回参考にしたのは石州流ですが、裏千家流のお点前はこちらになります。見比べると、ちょっとした違いがあることがわかります。
まとめ:
洗練された動きの「石州流・伊佐派・平点前」の動画を参考にさせていただきながら、茶道の基本である「平点前」について解説してきました。お友達と気軽にお茶会を楽しむ場合は、茶釜がなくてもポットや薬缶で代用できます。お茶は、器や掛物、生け花など、さまざまな要素で構成されたいわば総合芸術。今回は基本となる「平点前」の部分にスポットをあてましたが、次回は茶道のもっと奥深い部分に分け入りたいと思います。