はじめに
親が管理できなくなった茶園を今年から引き継ぐことになりました。これから1人で黙々と茶摘みをして、製茶していく予定です。今回は、予習の意味を込めて茶摘みから製茶までの流れについて、煎茶の歴史について簡単に解説します。
茶摘み
最近は機械化が進み、手で1本1本摘む茶摘みは減りました。しかし、1本1本丁寧に摘んだお茶は、機械で摘んだお茶とは比べものにならないくらい香りも味わいも格別です。
手摘み煎茶は1芯2~3葉で摘みます。機械摘みの場合は1芯4~5葉です。
番茶は煎茶を摘み終えたあとに残された硬い茶葉を摘んで加工したものです。
製茶
蒸す工程
摘み終えて集めた茶葉は、蒸気で蒸しあげます。製茶の工程で最も重要なポイントは蒸し加減です。蒸し加減が緑茶の色と品質に決定的な影響を与えます。
蒸す工程には、酵素を働かなくして緑色をそのまま保たせる効果もあります。逆に酵素を働かせて発酵させたのが紅茶です。
蒸し加減には、浅蒸し、中蒸し、深蒸し、特蒸し、極蒸しなどがあり、蒸し時間が長いものほど、コクや味わいが増すといわれています。
手もみ製茶
蒸し終わった茶葉には風をあてて冷却します。熱がこもったままだと、鮮やかな緑が失われ、味も落ちてしまうからです。
手もみの最初の工程は、茶葉の水分を減らす「葉ぶるい」という工程です。
「葉ぶるい」が終わると「回転もみ」の工程にうつります。
大きく左右に身体を動かして、茶葉を転がすようにしてもむのが「回転もみ」です。
「葉ぶるい」だけでは中の水分が蒸発しないため葉の端が乾燥して割れてしまいます。そのため「回転もみ」をして内部の水分を外に出し、葉全体の水分量を均一にします。
「回転もみ」の次は「もみきり」の工程です。「もみきり」は両掌をすりあわせてもみます。「もみきり」は手もみの中で最も難しい工程です。
「もみきり」の次は最終工程の「こくり」があります。「こくり」の工程で茶葉が針のような形になります。
緑茶は唐の時代に中国から伝わった
緑茶は唐の時代(618~907)に中国から伝来しました。この頃の中国では緑茶が一般的でした。その後中国では茶葉を釜で煎って作る技法に切り替わります。しかし、日本は中国伝来の古い製法をそのまま引き継いできました。その結果、今では緑茶は日本独自のものになりました。
まとめ
煎茶を手もみの方法で作るのは技術的にも体力的にも大変です。わずか100gほどの煎茶を作るのに丸1日かかります。その分、手もみで作ったお茶は「大事に味わって飲まなくては」という気持ちになります。