名茶室を訪ねてみよう!如庵

yamashita
2018.05.26
如庵

 

はじめに

今回は、愛知県犬山市の有楽苑にある国宝のお茶室「如庵」をご紹介いたします。国宝に指定されているお茶室には「如庵」のほかに、大山崎の「待庵」、京都・大徳寺の「密庵」があります。

 

■如庵について

如庵

如庵は数々の数奇な運命をたどり、あちらこちらを転々としながら最終的に現在の有楽苑に移築されました。如庵が建造されたのは元和4年(1618年)のことで、建仁寺の塔頭である正伝院が再興された際、織田信長の弟・織田長益(織田有楽斎)によって正伝院の境内に建造されました。

 

明治6年(1873年)には、窮民産業所を設立するため、正伝院の地は京都府に引き渡されることになります。正伝院は永源庵跡地に移転しましたが、如庵は売却の対象となり、一時は祇園町の有志に払い下げられ「有楽館」として保存公開されていました。

 

しかし、祇園町の有志による維持管理が難しくなり、明治41年(1908年)に売却を余儀なくされます。複数の購入希望者が手を挙げましたが、その中に三井財閥の三井総領家(北家)がありました。

 

三井総領家(北家)の当主・三井高棟は、茶人としても知られ、表千家11代の千宗左(碌々斎)に師事していました。そうした経緯から、三井総領家(北家)が「如庵」「書院」「露地」を買い取り、東京今井町(現港区六本木)の三井本邸に移築されることになりました。

 

「如庵」の移築は、解体せずトラックにそのまま載せて京都から東京まで運搬されました。運搬を行ったのは、京都の数寄屋大工平井家4代竹次郎です。

 

優れた建築造作や歴史的な価値を評価する声が日増しに高まり、昭和11年(1936)に、文部省は如庵と露地を重要文化財(旧国宝)に指定します。国宝に指定されたことを機にして、三井高棟は如庵を神奈川県大磯の別荘「城山荘」へ移築する計画を立てます。

 

三井高棟の隠居にともない大磯の別荘「城山荘」が完成し、昭和12年(1937)頃から如庵の移築作業がはじまりました。高棟の指揮のもと、5年の月日をかけて慎重に移築作業が行われ、移築が完了したのは昭和16年(1941)のことです。

 

敗戦後、財閥解体で三井家が所有していた大磯の城山荘が売却され、如庵や書院も三井家の所有から離れることになります。如庵は、昭和47年(1972年)に名古屋鉄道によって現在の犬山市に移築されました。

 

 

■如庵を見学するにはどうすれば良い?

如庵は、名鉄犬山ホテル(愛知県犬山市)の日本庭園「有楽苑」にあります。普段は公開されていませんが、月に1度、内部特別見学会を開催しています。

 

・内部特別見学会の参加応募方法

「往復はがき」でお申し込みください。

※住所・氏名・電話番号・参加人員(本人含む)

※参加希望日時を第1希望~第2希望まで明記してください。

 

・内部特別見学料

お一人 3,200円(入苑・抹茶・特別見学料)

 

・詳細はこちらをご覧ください

http://www.m-inuyama-h.co.jp/urakuen/joan/special.php

【如庵】

住所: 愛知県犬山市御門先1番地(名鉄犬山ホテル敷地内)

写真提供:名鉄犬山ホテル 有楽苑

 

 

まとめ

今回は名茶室「如庵」をご紹介しました。国宝のお茶室はほとんど中には入れないのですが、「如庵」の場合はお茶室の中でお茶が味わえます。内部特別見学会は月に1度しかありませんが、ぜひ名茶室「如庵」でお茶を飲んで本物の雰囲気を味わってみてください。

 

 

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