皆様はどのような「趣向」でお茶会をひらきますか?5月から10月までの風炉の季節

yamashita
2018.04.30

 

はじめに

 

お茶会を開催する場合に亭主は、どうして茶会を開催するのか、どういう理由でお客様をお招きして茶会を開催するのか、テーマを考えなくてはいけません。このテーマが趣向ということになります。飲み会などでも、桜の花が咲いたから花見の宴を開催しよう。新年を迎えておめでたいから、飲み会をしよう。といったテーマ(お酒を飲む口実)を考えるのではないでしょうか。趣向もそれと同じです。

 

■主だった茶会における趣向

 

織部扇面形手鉢

 

平安時代から鎌倉時代にかけて活躍した歌人・西行法師は、「世の中にたたえてさくらのなかりせば、春の心はのどかなるべし」という掛物を床にかけて、山桜という銘の茶入れを使用した茶会を催したと伝えられています。まだ、茶道が確立されていなかった時代から「趣向」を大切にして来たことがわかります。

風炉の季節(5月~10月)における茶会にふさわしい代表的な「趣向」をご紹介します。

 

【5月】

 

5月は、自然のあらゆるものが力強く成長する季節。暦の上では夏を迎え、炉から風炉に切り替えます。深々とした濃い葉桜など、生命感にあふれるまぶしい緑が障子越しにうかがえるように工夫します。端午の節句にちなんで、菖蒲や兜を床に飾るのも良いでしょう。

・初風炉
5月から10月までは風炉の季節、今年はじめて風炉を出すことを記念したお茶会です。

・端午の節句
子供の成長を祈って、鯉のぼりを泳がせ、武者人形などを飾り、催すお茶会です。

・菖蒲の花をめでる
5月は菖蒲や燕子花の季節、池にきれいに菖蒲が咲いたのでお茶会を兼ねて見に来てください。

・鵜飼開き
長良川の鵜飼いは有名です。鵜飼開きの前には協賛茶会が開催されます。

 

【6月】

 

6月は、梅雨入りの頃、1年でもっともじめじめとした過ごしにくい季節です。逆に雨の情緒を楽しむような趣向が良いでしょう。例えば、「ほたるがり」などは6月の趣向の一つです。

・ほたるがり
ほたるがいない場合でも、「ほたるがり」という趣向でお茶会が楽しめます。近くにホタルが見られる場所があれば、お茶会の前か後にお客様を「ほたるがり」にご案内すると良いでしょう。

・織部忌
6月11日は戦国時代の武将にして茶人の古田織部が入滅した日です。あちらこちらのお茶室で織部をしのんだお茶会が催されます。

 

【7月】

 

7月は梅雨の終盤にあたり、6月よりも雨脚が激しい季節です。また、七夕の季節なので牽牛と乙姫をあしらったロマンチックな趣向が楽しめます。

・あさがお市
7月は、朝顔市が各地で開催されます。床に朝顔を飾って涼し気なお茶会を開催してみましょう。

・七夕のお茶会
年に一度だけ、牽牛と乙姫が出会う夜。めったに会えないお友達を誘って、七夕のお茶会を開催してみてはいかがでしょうか。

・ほおずき市
7月は「ほおずき市」の季節でもあります。ほおずきを床に飾って、お茶会を催してみましょう。

 

【8月】

 

8月は暦の上では秋とされていますが、年間を通してもっとも暑い季節です。涼を求めたすがすがしくなるようなお茶会を開催しましょう。

・八朔
旧暦の8月1日は、稲の初穂を宮中へ献上する田実の節があります。

・送り火/万灯流し
お盆に帰っていた先祖の霊を送る行事が全国各地で行われます。送り火を鑑賞しながら静かにお茶会を催すという趣向もおすすめです。

 

【9月】

 

9月はお月さまが美しい季節。また、重陽の節句には、菊の茶会が各地で開催されます。

・重陽の節句
菊の花を床の間に飾って重陽の節句にちなんだ趣向でお茶会を催しましょう。

・中秋の名月
中秋の名月をめでるという「趣向」でお茶会を開催してみましょう。

 

【10月】

 

風炉は10月までなので、名残りの月となります。風炉の季節を惜しみ名残惜しい気持ちでお茶会を開催しましょう。名残の月は、行く季節を惜しんで、季節遅れの花や返り咲いた花を飾っても良いとされています。

・芭蕉忌
10月12日は松尾芭蕉が入滅された日です。「芭蕉忌」という趣向で、お茶会がよく開催されます。

・もみじがり
10月はもじみがりの季節、床の間に色づいた紅葉を生けてお茶会を開催してみましょう。

 

まとめ

風炉の季節、5月から10月までの主だったお茶会の「趣向」についてご紹介してきました。「趣向」には決まりがありません。自分で面白い「趣向」を見つけたら、親しいお茶仲間を誘ってお茶会を楽しんでください。例えば、鱧が美味しい季節なので「鱧」を趣向にしてお茶会を開催するというのもありだと思います。次回は、炉の季節11月から4月までの「趣向」についてご紹介します。

この記事を書いた人

yamashita
関西最大のおやじバンドフェス|SuperOtonaFes.2023(スーパーオトナフェス2022)