皆様はどのような「趣向」でお茶会をひらきますか?11月から4月までの炉の季節

yamashita
2018.05.09

はじめに

皆様はどのような理由でお茶会を開催されますか?桜の花がきれいに咲いたから、良いことがあったから、めでたいことがあったから、などさまざまな理由があると思います。お茶会を開催する理由の事を茶道の世界では「趣向」と呼びます。今回は前回に続いて11月から4月までの炉の季節の一般的な「趣向」をご紹介します。

 

■主だった茶会における趣向

茶道には、季節ごとにお茶会のテーマとなる「趣向」があります。一般的に11月は秋が終わり、厳しい冬の季節が到来に備える時期です。しかし、茶道の世界では、葉茶壷の封印を切り、その年の新茶を振舞う茶事「口切り」が行われます。「口切り」の茶事を「茶人正月」と呼ぶことがあります。

 

【11月】

11月は、月初めに立秋を迎え、暦の上では冬にあたりますが、茶道では炉開きが行われて心新たにスタートをきる季節です。一般的には炉開きは立秋にあせて行われることが多いようですが、最近では文化の日にあわせて行われることが増えてきました。

 

11月には炉開きに加えて、「口切り」という茶事があります。新茶がとれる前に茶師に葉茶壷を預けて、濃茶を小袋につめたものを中心に入れ、その周囲に薄茶の葉茶を詰めて、11月まで保管されます。亭主は、炉開きの時期に葉茶壷の封印を切って、新茶で「口切り」の茶事を行います。

 

・開炉

風炉から炉へ切り替えることを記念したお茶会です。

 

・口切り

新茶の季節に茶壷に詰めていた濃茶を立てるお茶会です。

 

・宗旦忌

千利休の侘茶を完成させた利休の孫「千宗旦」の修忌です。裏千家流の「今日庵」で開催されるお茶会には、上林茶園の主人が裃姿で茶壷を唐櫃に納めて届ける伝統があります。

 

【12月】

茶道の世界では、12月は一足先にお正月を迎える月になります。12月13日は「事始め」にあたり、亭主や師匠に歳暮や祝儀を手渡して、日頃の感謝の気持ちを伝えます。このしきたりは、祇園の花街でも守られています。

 

・餅つき釜

餅つきの臼や杵にちなんだ趣向を演出してお茶会が開催されます。

 

・除夜釜

除夜の鐘に耳を傾けながら開催するお茶会です。除夜の鐘が鳴りやむころに、炉中の残り火に灰をかぶせて埋火にし、新年にむけての下火とします。

 

【1月】

新年は、大福茶の茶事でスタートします。めでたい掛物や新鮮な気持ちになる青竹などをあしらって趣向をこらしてください。

 

・大福茶

除夜釜の埋火をかきたてて炭を足し、汲みたての若水を釜に満たして、大福茶をいただきます。家族そろって大福茶を飲むと、1年間無病息災で過ごせるといわれています。

 

・初釜

茶道を教える師匠に場合は、初釜が稽古はじめにあたります。お正月らしい趣向で心新たに習い事をスタートさせます。

【2月】

夕刻から開催される「夜咄(よばなし)の茶事」は12月頃から3月頃の期間に開催される茶会ですが、1年で最も寒い2月の開催がしっくりきます。

 

・夜咄の茶事

「夜咄の茶事」は、茶会の中で最も難しいものとされ、千宗旦は「茶の湯は夜咄にてあがり申す」と教えていました。夕方から夜にかけて行われるので「夜会」とも呼ばれます。

 

・暁の茶事

「暁の茶事」は、最も寒い12月から2月頃にかけて、早朝の暗いうちからはじめて、夜が明けていくのを楽しむ茶会です。「夜込(よごめ)」と呼ばれることもあります。

 

【3月】

3月は、三寒四温をくりかえしながら少しずつ暖かくなってくる月。梅や桃の花が咲きはじめ、春の訪れを香りで感じとることができる華やぎの季節です。

 

・ひな祭り

女の子がいる一般の家庭でもお雛様を飾って祝いますが、茶道でもひな祭りに寄せた趣向で茶会を開催します。床にはひな祭りにちなんだ俳句などの掛物を飾ります。

 

・利休忌

3月27、28日は、茶道の祖・千利休の忌日。茶道家にとってとても重要な茶会となります。

 

【4月】

4月は、桜の花が咲いてやっと春が来たと思える季節です。桜や春にちなんだ趣向で多くのお茶会が開催されます。下旬になると、そろそろ炉から風炉への切り替えを準備する時期です。

 

・お花見

桜の花を花入れに飾ってお茶会を開催します。道具や掛物などは、お花見にちなんだものをあしらって、華やかで明るい雰囲気を演出してください。

 

 

まとめ:

炉の季節、11月から4月までの主だったお茶会の「趣向」についてご紹介してきました。茶道の主だった趣向以外にも、忘年会や新年会を趣向にしたお茶会などがあっても良いと思います。また、「夜咄の茶事」や「暁の茶事」といった伝統的な茶事も、工夫次第で面白い現代的なお茶会になるのではないでしょうか。

この記事を書いた人

yamashita
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